電池管5球高1スーパー2ウェイラジオ |
裏ぶたのアクリル板がヒンジで下に倒れます。
この裏ぶたがループアンテナになっています。 |
高周波増幅1段付きのスーパーラジオで、ANTコイルはループコイルを自作、RFコイルとOSCコイルはトランジスタ用のOSCコイルを改造、PC(パディングコンデンサ)にはトランジスタ用のポリバリコンを流用、IFTはトランジスタ用を流用 と、基本仕様を固めたところで、さっそくループコイルの製作に取りかかりました。約30cm四方のアクリル板の周囲に1cm程の切れ込みを入れ、ここに0.5mm径のホルマル線を巻いていきます。ここで切れ込みの総数を奇数にしておくのがミソで、浮遊容量を少なくするために、スパイダーコイルのように一周ごとに巻き線がアクリル板の表と裏を交互に通るようにします。事前の計算で170uH前後のインダクタンスを目標としていましたが、15周巻いたところで163uHとなったので、とりあえずこれで良しとしました。 ここでANT、RF、OSCの各コイルを詳しく設計します。下のように、表計算ソフトで各コイルの同調周波数とトラッキングエラーを計算してグラフ化できるようにしておくと便利です。ここで各コイルのインダクタンスやPC、トリマコンデンサの容量をいろいろ変えてみた結果、下の表の値に落ち着きました。浮遊容量はあくまで仮定ですが、もしこの設計どおりになれば、トラッキングエラーは5kHz以内にできる見込みです。 |
ところで全体形状ですが、ループアンテナが約30cm角ありますので(この大きさ自体は適当に勘で決めたのですが)、ポータブルラジオとしてはかなり大きくなってしまいます。そこでポータブルというより半据え置きで、たまに持ち出しても使えるというコンセプトとし、電源は電池とAC電源の2ウェイとすることにしました。しかしそれにしても、部品を配置してみるとスペースに余裕がありすぎるので、手許にあった小さな電池時計を入れることにしました。この時計は単に入れただけでラジオの機能とは無関係ですが、ラジオと時計は一緒にあった方が便利だと考えました。家内は「まるで時□爆弾のようだ」と言いますが(確かに時計と電池と怪しげな電気回路が同居していると・・・) 構造配置は、正面からの写真で大体わかると思いますが、アクリル板で作ったケースの中に上下2枚のアルミ板を配して、これらにほとんどの部品を取り付けてあります。下のアルミ板の下面にトランスなど電源部が、上面に3連バリコン、PC(ポリバリコン)、出力トランスがあります。上のアルミ板に真空管と主要回路があり、ここからぶら下げた平ラグ板にRFコイル、OSCコイル、IFTが取り付けてあります。全体寸法は正面から見ると32cm四方で、奥行きは約8cmしかありませんが、重い部品を下のほうに配置してありますので安定性はあります。 |
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左の写真は裏側から見たところです。上側のアルミ板からぶらさげてある平ラグ板には、左下の写真のように、左からRFコイル、OSCコイル、IFT(1)2個、及びIFT(2)2個を取り付けてあります。 また下の写真のように、バリコンの裏側にはRFとOSCのトリマ、その右にはトランジスタ用ポリバリコン流用のPCを配置してあります。 |
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右より左の方が、ずっと感度は良い。 |
ところで少し前にCD・MDラジオを購入したのですが、どうもバーアンテナを内蔵していないようで(デジタル回路との干渉を避けるためでしょうか)、AMラジオを聞く場合は付属のループアンテナなどの外部アンテナを繋がないと聞こえませんと取扱説明書に書いてあります。確かに何もアンテナを繋がないとAMは殆ど聞こえませんし、付属のちゃちなループアンテナを繋いでも当地では感度は今ひとつです。左の写真のように並べて使ってみましたが、ループアンテナの大きさの違いのためか、今回の5球ラジオの方が高感度です。(どうもMD付きのラジオは、どれも外部アンテナが必要なようです。MD無しのCDラジカセなどはバーアンテナを内蔵しているようですが。) また今回は3S4の動作を最大定格近くに設定しましたし、スピーカーも直径約10cmで2Wクラスのものを使いましたので、音量・音質とも豊かで十分なものとなりました。IFTにトランジスタ用をそのまま流用したのでインダクタンス不足を心配したのですが、実用上はあまり問題無いようです。OSCコイルもトランジスタ用を少しほどいたものですが、問題無く発振しています。とにかく今回は大変満足できるラジオができました。 追記 2006.2.19
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その後、各部の電圧・電流を計測し、プレートやSGの電圧・電流が意図と違ったところは、SG抵抗やヒーターからプレート+SG電流を逃がす抵抗などを調整しました(それに合わせて上の回路図も修正しました)。ここでRF段やIF段のSG電圧が無信号時は少し低めですが、AVCが効いてSG電流が減ると電圧は70V近くまで上昇します。 またRF段のプレート+SG電流を計測する同調指示メータをつけました(左の写真)。同調すると電流が減って逆振れになりますので、メータは上下逆さまに取り付けてあります。RF段につけたのは、IF段よりAVCによる変化が大きいためです。 追記 2006.2.25
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左の回路図のように、B電源を抵抗で分圧してX点の電位を作り出し、これを基準にY点の電位(プレート回路に入れた抵抗の電圧降下)を測るような回路です。無信号時にIpが最大となりますが、このときX点とY点が同電位になってメータが振れないように(Im=0となるように)VR1を調整します。ここからAVCが効いてIpが減るとY点の電位が上がろうとするので、Imが流れるようになります。想定するIpの最小値においてメータがほぼフルに振れるようにVR2を調整します。 今回使用しているメータはフルレンジ0.5mA程度の小型のVUメータですが、メータの諸元(最大電流と内部抵抗)を計測/仮定し、Ipが最大と最小の状態で各点間に流れる電流と電位差の関係についていくつか式を立てて、ここからIbを消去すれば、各抵抗をどのくらいの値にすれば良いかが計算できます。回路図ではゼロ点調整と感度調整に2つのVRを使うことにしていますが、手許に適当なVRが無かったので、計算で求めた抵抗値に近い固定抵抗で代用しました。 |
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