初歩のデジタル・レコーディング |
前々から昔のレコードやテープをデジタル化して保存しておくとともに、CDに焼いて手軽に聞けるようにしておきたいと思っていました。最近はレコードをデジタル化したいという要望がやはり多いようで、USB端子付きのレコードプレーヤーが各社から発売されるようになりました。USB端子付きのカセットプレーヤーも発売されているようです。こういう製品は大変便利そうですが、付属しているソフトや書き出せるフォーマットに制約があるものもあるようですので、自分のやりたいこと(どんなフォーマットでデータを保存するか、どんなメディアにどのようにデータを加工して格納したいのかなど)を考えた上で、それができるかどうかをよく調べる必要がありそうです。
そこで汎用性や今後の発展性も考えて、まずは正攻法(?)で普通のレコードプレーヤーとA/D変換器(いわゆるオーディオ・インターフェイスとか、オーディオ・キャプチャーなどと言われているもの)とパソコンを組み合わせて、データ取り込みとCDへの焼き込みにトライしてみることにしました。なお全段差動アンプ以来お世話になっている「ぺるけさんのホームページ」の「Digital Home Recording」を全面的に参考にさせていただきながら、まずはなるべく楽に作業ができるように考えてみました。(結構たくさんのレコードを処理したいので・・・)
![]() オーデイオ・インターフェイス EDIROL UA-4FX |
使用した機材は・・・ |
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データの取り込み |
![]() 1曲分を選択して、ファイルへ書き出し。 |
データの加工は最小限です 録音を行う際は、他のソフトはすべて終了させ、常駐型のウィルスソフトも停止させ、LANケーブルは抜いておきます。録音からデータ加工、CDへの焼き込みまで、パソコン本体のハードディスクで行っていますが、特に問題は起きていません。ハードディスクの空き容量は30GBくらいありますが、CDへの焼き込みが終わったら関連ファイルは外付けハードディスクへ移動して、常に本体の空き容量を確保しておくようにしています。 録音が終わったら、上で説明したゲイン加工と16bitへの変換を行い、次に1曲ごとにファイルを作っておきます。その前に曲の切れ目を探してマーカーを入れておくと、1曲ごとに切り出す際に便利です。実はマーカーを入れておけば、曲の切れ目がCDにも記録されるのではないかと期待したのですが、どうも Sound it! ではそれはできないようです。マーカーの位置を参照して1曲の始めと終わりを指定して選択し、その範囲を別ファイルに書き出していきます。曲と曲の間を空けることは考えずに、連続して切り出していきます。これはソースによっては曲間に無音区間が無く、間奏などで連続している場合が結構あるからです。 本来は1曲ごとに前後のフェードイン・フェードアウトやクロスゼロ処理を行なった方が良いのでしょうが、とりあえず行なっていません。理由は曲間が連続している場合があるからです。 |
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CDへの書き込み |
書き忘れていたことが一つあるのですが、レコードから録音する際にはノートパソコンにはAC電源をつながず、電池で運用しています。ACアダプタをつなぐと、非常にわずかですが電源ハムノイズがのるためです(ヘッドフォンで最大音量にしてやっとわかる程度ですが)。おそらくパソコンにのったノイズが、USBを経由してオーディオ・インターフェイスに影響するのだと思います。ノートパソコンだから電池で運用できますが、デスクトップの場合どうすべきなのかは、試していないので何とも言えません(ノートより電源回路やノイズ対策がきちんとできている可能性はありますが)。
それから、何枚かレコードを録音しているうちに、オーディオ・インターフェイスの入力ボリュームをあまり大きくすると音が歪む傾向があることがわかってきました。これは私のレコードプレーヤー(イコライザアンプ)とオーディオ・インターフェイスの組合せの問題だと思いますが、ピークレベルを100%近くになるように入力ボリュームの目盛を7〜8以上(最大は10)にすると、耳で聞く分にはわずかな違いですが、取り込んだ後に波形をソフトで見ると、ピークの波形が多少なまっているように見えるのです。これはイコライザアンプのゲインが足りないのか、あるいはインターフェイスのゲインに問題があるのかもしれませんが、どうもイコライザの出力とインターフェイスの入力でインピーダンスの整合が十分ではないように思われます。ボリュームを5〜6程度以下にすれば問題ないのですが、そうするとピークレベルは30〜50%にしかなりませんので、24bitで取り込んで、データ加工でゲインを6dB(2.0倍)〜10dB(3.2倍)くらい上げたうえで16bitに変換しています。この程度のデータ加工であれば実用上まったく問題ないのですが、入力ボリュームを小さくしすぎると、ノイズレベルが問題になるので注意が必要です。
このようにいろいろ課題は出てきますが、とりあえず10数枚のレコードを処理して、なかなか快適に昔のレコードを楽しんでいます。さらに処理を続けながら課題を解決していこうと思っていますが・・・
追記 2009.9.5
いろいろ試してみると・・・
こうして昔のレコードを20枚近く聴いているうちに、以前はこれで十分満足しているようなことを書きましたが、やはり気になってきたのは更に少しでも良い音にならないかということです。
音質が今ひとつと感じる元凶は、レコードプレーヤーに固定されているおまけ(失礼!)のようなカートリッジとイコライザと思われます。そこで70年代半ばから使っていた古いパイオニアのプレーヤーを物置から引っ張り出してきました。少し掃除して電源を入れてみたところ、クォーツPLLは生きていてちゃんと回ります。当時使っていたプリ・メインアンプは故障しているので、一番簡単なMM/MC対応のフォノ・イコライザ(AT-PEQ20)を手に入れました。カートリッジは、当時一番よく使っていたAT32Eは酷使したせいか、保管が悪かったのか、どうも調子が今ひとつ。そこでDL-103を新調したところ、おまけのカートリッジより俄然音質が良くなりました。またオーディオ・インターフェイスのボリュームを上げたときに、以前のイコライザではレベルオーバー前に出ていた歪が無くなりました。
オーディオ・インターフェイスで24bit/96kHzで取り込んだものをそのままPCで再生するとかなり満足できるレベル。これをCD焼き込み用にソフトで16bit/44.1kHzに変換すると、やはり多少変わりますが一応満足できるレベルです。これなら普段はCDに焼いたものを聞くようにして、24bit/96kHzのファイルも残しておきPCで再生できるようにしておくということが考えられます。しかし、オーディオ・インターフェイスで一旦取り込んだものと、イコライザの出力をそのままアンプにつないだ場合を聞き比べてみると、若干違いを感じます。これはオーディオ・インターフェイスの性能も関係しているかもしれないので、もう少し良いインターフェイスはないかと物色していました。すると・・・
デジタル・レコーダーを使ってみる
オーディオ・インターフェイスも色々なものが出ていますが、最近は半導体メモリなどに直接録音できるデジタル・レコーダーもかなり進化していると共に、それこそピンからキリまで存在していることに気付きました。一番簡単なものはマイクのついたいわゆるICレコーダーですが、これのいわば高級版でリニアPCMでの録音が可能なものが各社から出ています。呼び方はメーカーによって様々ですが、例えば「リニアPCMレコーダー」などと言われています。これだと内蔵マイクだけではなく、アナログのライン音源からでもPCにつながずにリニアPCMで録音できますし、データの加工が必要ならPCに転送して加工し、それをメモリーカードなどでまたレコーダーに入れておけばPCもCDプレーヤーも使わずに再生できます。
リニアPCM録音ができるレコーダーで手頃なものは、ROLAND、TASCAM(TEAC)、ヤマハ、オリンパス、サンヨーなど各社から色々なものが出ていて(2010年現在)、どれが良いのかかなり迷いましたが、結局あまり根拠は無くソニーのPCM-M10を選びました。(一応比較検討した内容は、サンプリングのbit数と周波数、ライン入出力があるか、入力レベルの調整は容易そうか、レベルメータ表示が見やすいか、PCとのデータ転送は容易そうか、メモリーカードは何が使えるか、などです)
![]() リニアPCMレコーダー SONY PCM-M10 |
PCM-M10を使ってみた印象ですが、これはかなりの優れものだと思います。大きさや見た目は少し前の(少し大きめの)ポータブル・オーディオか、といった感じですが、これでリニアPCMかMP3での録音、再生が簡単にできます。 |
M10のライン出力をアンプにつなげば、当然のことながら従来のリスニング環境で楽しむことができます。ヘッドフォンで聴くにはM10だけでも十分な出力があります。これでメモリーカードを何枚か用意してCD代わりにすれば、CDより良い音で、なおかつ容易に楽しめることになりますが、今のところCD-Rよりメモリーカードはずっと高価ですから、普段どういう使い方をするかはもう少し使ってみて考えることにします。
しかし、とにかく録音も再生も大変容易にできますので、SACDもDVDオーディオもなかなか普及しない現状では、私のような素人がCD以上の高音質を試してみようというのであれば、こういったデジタル・レコーダーはこれからのトレンドになるのではないでしょうか。もちろん44.1kHzでサンプリングしてCDに焼く目的でも、こういったレコーダーは大変有効だと思います。録音が容易ですし、PCに転送すればデータ加工やCDへの焼き込みもできますし、更には本来のライブ録音とかポータブル・オーディオとか色々な使い方ができますので。
追記 2010.3.13
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