HAM'S OFFICE TS-5mt2



 熊本のHAM'S OFFICE(ハムズ オフィス)さんから購入した2バンド5球スーパーラジオのキット TS-5mt2を組立てました。真空管は6BE6-6BD6-6AV6-6AQ5-6X4の一般的な5球スーパーの構成で、中波帯と短波帯(後者はだいたい7〜15MHzの範囲)が良好に受信できます。

 外観は左の写真のように、アルミのシャーシにアルミの前面パネルという昔からの自作スタイルで、バーニアダイアルによる選局もちょっと懐かしい感じがします。なお天井や側面を囲んでいる透明アクリル板のカバーは、自分で作って追加しました。


 バリコンは親子バリコン、IFTも真空管用と本格的な仕様です。組立ては少し慣れてきたこともあって、丸2日ほどで完成しました。シャーシ、前面パネルとも穴あけ済みですので大変助かりましたが、微妙な穴位置のずれなどで一部に取り付けにくい部品がありましたので、ヤスリなどでこれを修正して、部品を取付けるのに1日目を費やしました。IFTの取付け穴やバリコンとバーニアダイアルの位置関係などが修正箇所です。2日目の配線作業は実体配線図や詳しい説明が付いていますので、比較的容易に進みました。

 左下はシャーシ内部の写真です。特筆すべきは2バンドのコイルパックで、写真ではシャーシ内の右上のところにあります。これを拡大したのが下の写真です。中波帯、短波帯それぞれのANTコイルとOSCコイル(計4本、いずれもコア入り)と、4個のトリマー、それにバンド切換えのロータリースイッチが組み立てられた状態で供給されます。専用に設計されたものと思われ、容易にトラッキング調整ができて高感度が得られるのは、これのおかげではないかと思います。



 そのトラッキング調整ですが、組立て完成後、キットについていたビニール線が3〜4メートルほど余りましたので、これをアンテナ端子に繋ぐと、既に何局か受かりました。中波帯は「電池管4球スーパー・ポータブルラジオ」にてご紹介した方法で、大体ですが容易にトラッキングが取れました。

 短波帯はどこの局が受かっているのかよくわからないので、20年以上使っていなかったグリッド・ディップメータ(トリオのDM-6)を引っ張り出して、これを信号源として用いました。ただしディップメータは古くて高調波をバンバン出しますし、またラジオはシングル・スーパーでイメージ妨害(中間周波数の2倍の910kHz離れたところでも同じ局が受信できる現象)は避けられないので、バンドのあちこちで信号が入り、どれが本当の(望んでいる)受信信号かを見極めるのが少し難しい作業です。

 イメージ妨害が結構あり、特に短波帯では顕著です。中波帯でも当地は地元の栃木放送1530kHzが非常に強力ですので、620kHz付近でもこれを拾ってしまいます。しかしこれは高周波増幅もないシングル・スーパーの宿命ですし、逆に言えばそれだけ感度が高いということでもあります。中波帯、短波帯とも十分実用になるラジオとして、また配線作業や調整作業などが楽しめて、おすすめできるキットです。
2005.4.16
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