電池管トリプルスーパー受信機の実験 |
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全体の外観は、高1中2受信機と並べて(見た目一体化して)使えるようにしました。左右中央付近に縦にアルミ板を立てて、その両側に各部品が付きますから、これも高1中2受信機と同様に、製作、改造、調整等が大変容易な構造となっています。 2つのコイルは、写真フィルム用のプラケースにホルマル線を巻いて作りました。左の写真で下側がANTコイル、上側が約19〜23MHzのIFコイルで す。黒いつまみを付けたバリコンは、どちらもトランジスタラジオ用の260pFのものです。IFのバリコンには、最大70pFのトリマを直列に、30pFのトリマを並列に入れて、約19〜23MHzをカバーするようにしてあります。 結果として、IFはバリコンを中央付近にしておけば幅3MHzの範囲はだいたい良い感度で受信可能で、さらにバリコンを大まかに調整すれば最大感度となり、調整はシビアではありません。コイルが0.5mmのホルマル線を4回程度巻いただけであり、Qが低いのでしょう。操作がしやすいので、これで良しとしました。 またANTバリコンはだいたい4.5〜13.5MHzをカバーしますが、これも大まかに受信周波数付近にしておけば十分受信可能で、さらに微調整すれば最大感度とすることができます。これもコイルが8回巻きでQはそれほど高くないと思います。もし操作しすらければ、抵抗を入れてQダンプすることも考えていたのですが、プリセレクタとして十分機能し操作性も悪くはないので、あえてQダンプはしませんでした。 ところで動作させてまず困ったのは、水晶発振にスプリアスが多くて(高調波だけでなく低調波も多い)、あちこちでスプリアスが受信できてしまうことです。局発のグリッドバイアスはグリッドリークに頼った回路にしてあり、はじめはグリッドリーク抵抗を1st、2ndとも100kΩにしていたのですが、12MHzと15MHzを発振する1st局発のグリッド電圧を計ってみるとバイアスが深すぎて、これではスプリアスが多いのは当然でした。リーク抵抗を2.2kΩまで小さくして、やっと適度なバイアスとなりました。24MHzを発振する2nd局発は逆にバイアスが浅すぎて(ほどんど0V)発振が弱い感じがしたので、リーク抵抗を470kΩに大きくしました。 なお1st局発は12MHzと15MHzとではバイアスが結構違います。クリスタルを切り換える場合は動作点も切り換えるとか、あるいはグリッドリークバイアスに頼る回路は本来は良くないのかもしれません。またスプリアスはかなり減って実用的にはあまり問題なくなりましたが、完全には取りきれていないようで、局発の出力には同調回路を入れるなどした方が良さそうです。 |
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